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PDCAは古い、と切り捨てる前に——40年で見えた、本当に成果が出るPDCAの回し方

PDCAは古い、OODAの時代だ、とよく言われます。でも、実はPDCAを正しく回せている人は驚くほど少ない。教科書通りに動かない理由と、私が40年で辿り着いた「実用版PDCA」を、若手にも使える形で整理しました。

「PDCAは知ってます」と「PDCAが回せます」は別物

PDCA(Plan-Do-Check-Act)という言葉を、社会人で知らない人はいないでしょう。新人研修で必ず習い、ビジネス書でも繰り返し説明される、最も有名なフレームワークの一つです。

でも、40年見てきて思うのは——「PDCAを正しく回せている人は、20人に1人もいない」ということです。多くの人は「Plan」と「Do」だけで終わります。Checkは形だけ、Actは存在しない。これでは回っているとは言えません。

近年「PDCAは古い、OODAだ」という議論もありますが、私はPDCAは今でも有効だと思っています。古いのはPDCAではなく、PDCAの回し方です。本記事では、若手のうちから使える「実用版PDCA」を、私の経験を交えてお伝えします。

なぜPDCAは「回らない」のか

20代の頃、私もPDCAの言葉だけ知っていて、実際には全く回せていませんでした。今思えば、理由は3つありました。

  1. Planが大きすぎる——半年単位の計画で、振り返るタイミングが来ない
  2. Doで力尽きる——実行で疲れて、Checkに行く気力がない
  3. Checkが感想で終わる——「頑張った」「次はもっと」で具体策がない

これでは回りません。でも実は、これら3つは全部「設計」の問題です。PDCAは意志ではなく、設計で回すもの。これに気づいたのが30代後半でした。

実用版PDCA・原則1:「1週間PDCA」で回す

多くの人は、PDCAを四半期や半年単位で回そうとします。でも、これが最大の失敗です。

私が30代後半に切り替えたのは、「1週間で1サイクル」でした。月曜にPlan、火〜金にDo、金曜の夕方にCheckとAct。たったこれだけ。

曜日やること所要時間
月曜朝Plan:今週の目標と行動を3つ決める15分
火〜金Do:実行する
金曜夕方Check:何が出来て何が出来なかったか10分
金曜夕方Act:来週の改善点を1つだけ決める5分

合計30分で、1週間のPDCAが完成します。短いサイクルだから、必ず回せる。50回失敗するより、52回小さく振り返る方が、圧倒的に早く成長します

実用版PDCA・原則2:Planは「3つだけ」

1週間Planで決めるのは、3つの行動だけ。10個書く必要はありません。

3つに絞るルールはシンプルです。

例えば、20代の若手なら——

これくらいの粒度です。多くの人がPDCAで失敗するのは、Planの粒度が大きすぎるから。「営業力を上げる」ではPlanとは言えません。「来週月曜に何をするか」まで具体化されて初めてPlanです。

実用版PDCA・原則3:Checkは「数字」で見る

「頑張った」「次はもっと」で終わるCheckは、Checkではありません。Checkに必要なのは、「数字で判定できる事実」です。

金曜の夕方、私が今でもやっているのは、こんなチェックです。

計画結果判定
A社の見積書を提出する木曜に提出した
先輩に同行営業を依頼する声をかけたが、まだ実現していない
朝の30分集中を5日継続3日で2日サボった×

この◯△×を機械的につけることが、最強のCheckです。「頑張ったか」ではなく「やったか、やらなかったか」だけを見る。感想ではなく事実で見ると、自分の癖が見えてきます

例えば「いつも△と×の項目に共通点がある」と気づくと、それが自分の弱点です。私は20代の頃、人に何かを依頼する系のタスクが必ず△で終わっていました。これが「自分は人に頼むのが苦手」という弱点を可視化したのです。

実用版PDCA・原則4:Actは「1つだけ」

Checkで反省点が3つ見つかると、人は3つ全部直そうとします。これが続かない原因です。

私のルールは、「来週の改善点は1つだけ」。3つ反省点があったら、1つだけ選ぶ。残り2つは、再来週以降にとっておく。

例えば前述の例なら、×だった「朝の30分集中」を改善するのが優先かもしれません。来週のActは「朝、出社後すぐに机に向かわず、まず3分だけタスクを書き出す」とか。具体的な行動を1つだけ決めて、来週のPlanに組み込む。

これが循環するから、PDCAなのです。多くの人は、PDCAをCAが抜けてP-Dだけで回している。だから何年たっても同じ失敗を繰り返します。

実用版PDCA・原則5:「失敗をログに残す」

40代で確立した最後の習慣は、失敗ログを残すことでした。

うまくいったことより、うまくいかなかったことの方が、はるかに価値があります。なぜなら、人は同じ失敗を繰り返すからです。失敗を書き残しておくと、次に同じ場面に直面した時、過去の自分が助けてくれます。

私の失敗ログ(管理職時代)の例——

10年分の失敗ログがあると、それは「自分専用の最強教科書」になります。本屋で売っているビジネス書より、ずっと役に立ちます。

ケーススタディ:1年で営業成績がチームトップになった部下Hさん

40代の管理職時代、新人として配属された部下Hさんは、最初の3ヶ月はチーム最下位の成績でした。私は彼に「実用版PDCA」を教え、毎週金曜にCheckを一緒にやることにしました。

Hさんが最初に気づいたのは、彼の×が「商談後のフォローアップ」に集中していることでした。会いに行くまでは出来ているのに、その後の追いかけができていなかった。

そこからActは「商談から24時間以内に、必ず何か一通メールを送る」とシンプルでした。それを4週間続けたところ、彼の受注率が1.5倍になりました。1年後、Hさんはチームのトップ営業として、新人としては異例の表彰を受けました。

彼が特別優秀だったわけではありません。「気づいて、直して、続ける」を毎週確実に回しただけです。これがPDCAの本来の姿です。

まとめ:今週の金曜から始められる

PDCAは、四半期報告のためのフレームワークではありません。毎週、自分の仕事の質を上げ続けるための、最強のツールです。

もし今週から始めるなら、たった一つだけ実験してみてください。

金曜の夕方、退社前に10分だけ。今週やった3つのことを書き出して、◯△×をつける。それだけ。

これを4週続けてみてください。あなたの仕事の癖、強み、弱点が、自分でも驚くほど可視化されます。可視化できたものは、改善できます。改善できると、結果が変わります。

PDCAは古くありません。古いのは、PDCAを「言葉だけ」で終わらせる回し方だけです。